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9月から厚生年金保険の標準報酬月額の上限が改定されます。

ここ数日、宇都宮の労働基準監督署や職安に訪問するべき案件が続き、求職者の方が増えて報道もされていますが
栃木の有効求人倍率が1倍を下回った状況を実感します。
(宇都宮は、労基署・職安・栃木労働局が同じ庁舎にあります)

このような中、厚厚生年金の保険料上限が9月から引き上げられます。高所得者の人は保険料が高くなる分、将来も
らえる年金も多くなりますが、コロナ禍での引き上げですから、負担感は大きくなる可能性があります。

厚生年金は保険料について半分を自己負担、残り半分を会社が負担しています。
厚生年金の保険料は給与水準に応じて設定される「標準報酬月額」によって決まりますが、
これまでは月収60万5000円以上の人を対象にした62万円の標準報酬月額が上限となっていました。
つまり月収が60万5000円以上の人は、すべて標準報酬月額が62万円であるとみなされ、それ以上、稼いでいても、
上限を超えて保険料を支払うことはできません。

今回の改定では、月額63万5000円以上という新しいカテゴリーが設けられ、ここに該当する人は
標準報酬月額が65万円であるとみなされます。これによって支払う保険料は毎月、5490円増えることになります。
厚生年金は半分が自己負担で半分が会社負担ですから、個人が支払う金額は2745円の増加です。
支払う保険料が増える分、もらえる年金も多くなりますが、40年間の加入者で比較した場合、年金の増額分は
年8万円程度となりそうです。

標準報酬月額の上限は、厚生年金保険法第20条2項で毎年3月31日における全被保険者の標準報酬月額を平均した
額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が
継続すると認められるとき、その年の9月1日から、最高等級の上に更に等級を加える改定を行うことができる、
と定められています。
今回、引き上げが行われるということは、加入者の賃金が上がっていることを示しているのでしょうが、
しかし多くの人にとって賃金が上がっているという感覚はなく、コロナ禍の状況でその状態が継続すると認められ
るのでしょうか?

政令改定に向けたパブリックコメントには企業から
「一般的には報酬の高い大企業でもコロナによる打撃は例外ではない。なぜ今踏み切るのか」
という声もあったそうです。