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2026/03/13
■ 相談内容
サービス業を営む企業から、有期雇用契約社員の雇止めに関する相談がありました。
従業員Aさんは、1年契約の有期雇用社員として勤務していました。
会社の就業規則および雇用契約書では、契約更新の判断基準として次の事項を考慮することが定められていました。
・勤務成績
・業務量
・業務の適格性
・会社の経営状況 など
Aさんについては、契約期間中の勤務状況を踏まえ、契約満了をもって更新しない方針が社内で決定されました。
そして、契約満了の約2か月前に雇止め通知を本人へ交付しました。
ところがその後、Aさんから次のような主張がありました。
・妊娠が判明した
・妊娠した労働者を雇止めすることは男女雇用機会均等法違反である
さらに、会社に対して損害賠償請求を検討しているとの申し入れがありました。
会社としては、
・雇止めの決定は妊娠が判明する前に行われていた
・契約更新基準に基づき判断している
という認識でしたが、男女雇用機会均等法違反に当たる可能性があるのかを不安を感じ、当事務所へ相談がありました。
■ 門倉事務所の対応
当事務所ではまず、男女雇用機会均等法第9条および育児・介護休業法の不利益取扱い規制について整理しました。
これらの法律では、妊娠・出産・育児休業等を理由として、次のような不利益取扱いを行うことが禁止されています。
・解雇
・雇止め
・降格
・減給 など
また、行政解釈では、妊娠・出産などの事由を**「契機として」**不利益取扱いが行われた場合は、原則として法違反と判断されるとされています。
一般的には、妊娠・出産等の事由の終了から1年以内に不利益取扱いが行われた場合、その事由を契機としたものと判断される可能性があるため、
企業は慎重な対応が求められます。
もっとも、次のような事情がある場合には、契機性が問題となる場合でも、均等法違反とならない可能性があります。
・業務上の必要性がある場合
・契約更新基準に基づく客観的判断がある場合
・妊娠とは無関係に決定されている場合 など
■ 本件の事実関係
本件では、次の点が重要な事情でした。
・雇止めの決定は妊娠が判明する前に行われていた
・契約満了の約2か月前に雇止め通知が交付されていた
・契約更新基準が就業規則および契約書に明記されていた
・更新判断は勤務成績等を踏まえたものであった
・妊娠判明後に判断を変更した事実はない
つまり、会社の雇止め判断は妊娠とは無関係に既に決定されていた人事判断であり、
妊娠を理由として雇止めが行われたものではないと整理できる状況でした。
■ 法的整理
男女雇用機会均等法第9条では、妊娠・出産等を理由とする解雇その他不利益取扱いが禁止されています。
また、妊娠中および出産後1年以内の女性労働者に対する解雇については、
会社側が妊娠等を理由とするものではないことを証明できない限り無効とされます。
有期雇用契約の場合、契約期間満了による雇止めであっても、不利益取扱いとして問題となることがあります。
しかし本件では、
・雇止めの意思決定が妊娠判明前に行われていたこと
・契約更新基準に基づく判断であったこと
・妊娠判明後に判断を変更した事実がないこと
などから、妊娠と雇止めとの間に因果関係(契機性)を認めることは困難であり、
男女雇用機会均等法違反には当たらない可能性が高い事案と考えられました。
■ 解決結果
当事務所の助言を受け、会社はAさんに対して次の点を整理したうえで説明を行いました。
・契約更新の判断基準
・雇止め決定の時期
・妊娠判明前に判断が行われていたこと
その結果、Aさんも会社の説明を理解し、最終的には損害賠償請求には至らず、双方合意のうえで解決しました。
妊娠・出産に関する労務対応では、企業側の意図とは関係なく法的トラブルに発展するケースも少なくありません。
特に有期雇用契約の雇止めでは、判断の時期や更新基準の運用など、慎重な対応が求められます。
門倉事務所では、個別の事実関係を丁寧に確認したうえで、トラブルの未然防止や適切な対応についてサポートしております。
同様の問題でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
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