
1.はじめに
助成金は国が雇用の安定のために、政策として必要な分野に支給されるよう設計しています。雇用の悪化が進むと、雇用の維持のために新設され、既存の要件緩和や受給額の拡大が行われます。
そのため、助成金は国が進めようとするセイフティネットへの積極的な理解、協力を、制度として導入する会社が支給の対象となります。
弊所は助成金の本質を次のように考えています。国が設計する助成金には“計算”があります。それは、たとえば、「優秀な人材を眠らせるのは社会的損失だ」などという計算です。 最近では、高齢者活用や女性活用を、盛んに国が“助成”していますが、それは、定年などで高度な技術や見識が社会に埋もれてしまうこと、出産や育児で女性の労働力が失われることを国が“社会の損失”として、懸念しているということです。
そのため、埋もれてしまいがちな人材の“活路”を作るため、一定の条件の下に“雇用に関する助成金”を設置しています。
たとえば“高齢者活用に関する助成金”では、定年制度を65歳以上に延長するか定年制自体を廃止するという基本条件を求めます。そこには、高齢でも働く意思がある人材を“辞めさせないで欲しい”という国の施策があります。
一方、女性活用には、育児休暇を充実させることを条件に、助成金を出す制度があります。
つまり助成金を活用する第一歩は、こうした人材活用の勧めを自社のマネジメントとして国家の施策を受け入れるかどうかを検討することにあると思います。
助成金は、国が考える施策と自社の人材マネジメントを調整し、健全な会社を形成、発展させていくひとつのツールではないでしょうか?
2.助成金とは
国から貰える返済不要のお金で融資ではありませんので、返済する必要は全くありません。
助成金は、条件さえ満たせば、どんな会社でも貰うことができます。
なぜ返済不要なのか
厚生労働省管轄の助成金は、全額事業主負担である雇用保険二事業で行われています。雇用保険率(11/1000)の内訳を見てみましょう。
| 雇用保険率 (一般の事業) |
事業主負担 |
被保険者負担 |
| 失業給付に係る率 |
雇用保険二事業に係る率 |
| 11/1000 |
4/1000 |
3/1000 |
4/1000 |
つまり、助成金の財源は事業主が全額支払っている雇用保険料で賄われているため、返済不要なのです。
したがって、雇用保険料を支払っている事業主、またはこれから起業して雇用保険料を納める方は、当然貰える権利があります。
会社が納めた保険料を、助成金として受給し、雇用の安定のために、上手に積極的に活用されることをお勧めします。
3.助成金の効果
助成金は返済不要のお金で、貰った助成金は売上ではなく100%利益になります。
例えば、100万円の助成金(=売上利益100万円)で見てみましょう。
100万円の助成金がいくらの売上に匹敵するかをみてみると、その効果は絶大なことがわかります。
4.助成金の会計処理
助成金は営業外収入に該当しますので、課税対象となります。
経理上は一般的に雑収入として計上します。
また、計上の時期は入金日ではなく、支給決定日で計上します。
支給決定日から入金日まで、間がかなり空いてしまう助成金もあります。仮に、支給決定日から決算日を挟んで、助成金が入金された場合は、支給決定日を基準に計上して下さい。
その他、障害者関係の助成金を受給した場合は、助成金の非課税措置や事業所税の軽減措置等、税金面での優遇措置が受けられます。
なお、上記の説明は一般的なものです。実際処理する場合は税理士様に必ずご相談下さい。
5.助成金は中小企業に手厚い
助成金は雇用保険料を支払っていて、条件さえ満たせば中小企業や個人事業でも受給することが可能です。
助成金は企業の規模を問わず支給される場合もありますが、中小企業だけに支給されるもの、又は大企業に比べて中小企業の方が助成率の高いものも少なくありません。
助成金は、雇用の安定を守る中小企業への支援金なのです。
中小企業事業主の範囲
| 業種 |
資本金等の額・常時雇用する労働者の数 |
| 小売業・飲食店 |
資本5,000万円以下、又は労働者が50人以下 |
| サービス業 |
資本5,000万円以下、又は労働者が100人以下 |
| 卸売業 |
資本1億円以下、又は労働者が100人以下 |
| その他の業種 |
資本3億円以下、又は労働者が300人以下 |
6.助成金を申請しよう
助成金は知っている人だけが受給できます。そして、申請をした人だけが貰えます。
つまり、申請しないと受給することができません。助成金の要件に該当する(該当できる)のに貰っていないのは、もったいないと言えます。
しかし実際は、助成金を知らないばかりに制度を有効利用できていない、助成金は知っているけど申請手続きがわからない会社が多いのです。
また、助成金を受給したいけれど、「面倒くさい」「本業が忙しくて、申請の時間が取れない」「どんな種類があるのかわからない」「書類が難しい」と一般の方は思われるはずです。
国から貰う返済不要のお金ですので、申請手続きは複雑で難しく、窓口担当者も不正受給が起こらないように申請書類を厳しくチェックします。
また、書類は窓口に何度も直接持参したり、業種ごとに揃える書類が異なったりと、かなりの労力と時間がかかります。
7.確実に受給するためのポイント
①法律で定められた帳簿書類は揃えておく
労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、就業規則、現金出納帳、総勘定元帳など法律で義務付けられている帳簿類は必ず準備しておきましょう。不正受給防止のため、申請書類はもとより賃金台帳や出勤簿は厳しくチェックされます。
また、助成金を申請すると、申請時、審査中、受給後に調査が入る場合があります。その時に上記の帳簿種類の提出を求められることがありますので、その時に慌てないように日頃から備えておきましょう。
②労働保険・社会保険への加入
助成金は雇用保険料を財源としているため、受給のためには、雇用保険に加入していることを条件としています。また、加入後は保険料を滞納しないように気をつけなければなりません。
会社経営を健全に長期間続けていくためには、労働保険・社会保険への加入は必須事項です。もし未加入の場合は、助成金受給に合わせ、会社環境を整備する良いきっかけとして加入されることをお勧めいたします。
③事前準備が大切
助成金は一般的に会社を設立したり、人を雇用した場合に支給されますが、その際、事前に申請することが必要となります。実施後では、受給できない場合がほとんどです。事前準備の不備(遅れ)により、本来であれば助成金を受給できたはずなのに、受給できない場合もあります。
会社設立前や従業員の雇用前に申請する書類もありますので、事前準備が何よりも大切です。会社設立、新事業進出、新たな雇用等がある場合は、事前にご相談ください。
④労務管理も重要
従業員を雇用したことによる助成金を受給した場合、対象労働者を会社都合で解雇してしまうと助成金を返還しなければならなくなります。また、過去に解雇したことがある場合は、その後しばらくは助成金を受給できない場合もあります。
従業員を雇う時はもちろん、雇ってからもトラブル等を起こさないよう注意していく必要があります。
また、助成金の支給対象期間に対象労働者に対する賃金を、支給申請を行うまでに支払っていない場合も支給されません。未払残業代等がないよう再度確認が必要です。
8.利用上の注意
偽りその他不正の行為により給付金の支給を受け、又は受けようとした事業主、労働保険の保険料の徴収等に関する法律に基づく保険料の納入をしていない事業主、給付金ごとに定められた支給要件に該当しない事業主、申請期限経過後に申請を行った事業主に対しては、助成金は支給されません。また、すでに受給した助成金の返還を求められることがあります。
これは当たり前のことですが、不正受給することは絶対に行なってはいけません。立派な犯罪です。また、助成金を受給したいがために、無理に人を雇ったりすることもやめましょう。必要に応じて雇入れたその結果として助成金は受給すべきです。
≪社会保険労務士に助成金申請代行を依頼する場合の注意点≫
助成金には申請ごとに様々な事情が起こる可能性があり、受給できない場合があります。
社会保険労務士に依頼したとしても、助成金を100%受給できるかどうかの保証はありません。その点はご了承ください。

厚生労働省の助成金の中でも、比較的利用価値の高い助成金を選び、目的別に分類しました。
受給要件をご確認いただければと存じます。創業等の設備費用については、認められるものの要件は税法等で定めてある固定資産等とは異なりますので、緻密な計画が必要かと思います。また、助成金受給には順番を守ることが成功ポイントとなります。
新規採用
| 宇都宮市雇用助成金 |
| 宇都宮市内に事業所のある中小企業が、対象労働者を常用雇用した場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 特定就職困難者雇用開発助成金 |
| 高年齢者(60歳以上65歳未満)、障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により継続して雇用する労働者として雇入れた場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 高年齢者雇用開発特別奨励金 |
| 65歳以上で以下のいずれにも該当する方をハローワーク等の紹介により1年以上雇用する労働者として雇入れた場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 若年者等正規雇用化特別奨励金 |
| 「年長フリーター等(25歳以上40歳未満)」又は「採用内定を取り消された方(40歳未満)」を正規雇用した場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 派遣労働者雇用安定化特別奨励金 |
| 「2009年問題」への対応として、派遣先で派遣労働者を雇入れた場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 中小企業人材能力発揮奨励金 |
| 雇用する労働者の能力を高め生産性を向上させ、労働者の職場への定着を促進するためにIT化等を活用して雇用環境の高度化を図るための設備投資を行い、新たに必要な人材を雇入れた場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 実習型雇用支援事業 |
| 「緊急人材育成・就職支援基金」により、新規成長・雇用吸収分野等において、非正規労働者など十分な技能・経験を有しない求職者を実習型雇用により受け入れた場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
ページのトップに戻る
トライアル雇用
| 試行雇用奨励金 |
| ハローワークが紹介する対象労働者を、試行雇用(原則3か月。1ヶ月又は2ヶ月も可能)した場合に助成されます。その間、企業と労働者相互の理解を深め、その後の常用雇用への移行や雇用のきっかけ作りを図ります。 |
| もっと詳しく |
| 宇都宮市トライアル雇用助成金 |
| 宇都宮市内に事業所のある中小企業が、平成21年4月1日から平成22年3月31日までにトライアル雇用を実施し、ハローワークの「試行雇用奨励金」の交付決定を受けた場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 試行雇用(技能継承トライアル雇用)奨励金 |
| 中小企業の事業の継続・発展に不可欠な技能、技術、ノウハウ等であって、その習得に相当な期間を要するものの技能継承者となり得る若年者(40歳未満)を試行雇用(原則3か月。1ヶ月又は2ヶ月も可能)した場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
ページのトップに戻る
雇用改善
| 中小企業雇用安定化奨励金 |
中小企業事業主が、有期契約労働者の雇用管理の改善を図るため、労働協約又は就業規則により、新たに転換制度を導入し、かつ、その制度を適用して有期契約労働者を通常の労働者へ転換させた場合に助成されます。
また、フルタイム有期契約労働者に対し、「正社員と共通の処遇制度の導入」又は「正社員と共通の教育訓練制度の導入」を実施した場合にも助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 短時間労働者均等待遇推進等助成金 |
| パートタイマーの均衡待遇に向けた取組を行った場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
ページのトップに戻る
雇用維持
| 中小企業緊急雇用安定助成金 |
| 世界的な金融危機や景気の変動などの経済上の理由による企業収益の悪化から、生産量が減少し、事業活動の縮小を余儀なくされた中小企業事業主が、労働者を一時的に休業、教育訓練又は出向をさせた場合に、その手当若しくは賃金等の一部が助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 残業削減雇用維持奨励金 |
| 景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合において、その雇用する労働者や派遣労働者の雇用の安定を図るため、残業時間を削減して雇用の維持等を行う事業主に助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 中小企業定年引上げ等奨励金 |
| 65歳以上への定年の引上げ、希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度の導入、定年の定めの廃止また65歳前に契約期間が切れない契約形態による希望者全員を対象とする65歳以上までの継続雇用制度(以下、65歳安定継続雇用制度という)の導入を実施した中小企業事業主に対して、実施した措置及び企業規模に応じて、一定額が助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 高年齢者雇用モデル企業助成金 |
| 65歳以上まで働くことができる新たな高年齢者の職域の拡大、処遇の改善、又は高年齢者を積極的に雇用する取組に係る計画(以下「職域拡大等計画」)の認定を受け、計画に基づく取組(以下「モデル事業」)を実施した場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
ページのトップに戻る
育児支援
| 中小企業子育て支援助成金 |
| 常時雇用する労働者の数が100人以下の雇用保険適用事業主が、平成18年4月1日以降、初めて育児休業取得者又は短時間勤務制度の利用者が出た場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 両立支援レベルアップ助成金(代替要員確保コース) |
| 育児休業取得者が育児休業終了後、原職等に復帰する旨の取り扱いを就業規則等に規定し、育児休業取得者の代替要員を確保し、かつ、育児休業取得者を原職等に復帰させた場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 両立支援レベルアップ助成金(子育て期の短時間勤務支援コース) |
| 小学校第3学年修了までの子を養育する労働者が利用できる短時間勤務制度を労働協約又は就業規則に規定し、労働者がこれらの制度を連続して6か月以上利用した場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
ページのトップに戻る
ワークライフバランス
| 職場意識改善助成金 |
| 労働時間等の設定改善に向けた職場意識の改善に取り組み、所定外労働の削減、年次有給休暇の取得促進、その他労働時間等設定改善のために必要な措置を講じ、成果を挙げた中小企業の事業主に助成されます。 |
| もっと詳しく |
ページのトップに戻る
創業支援
| 中小企業基盤人材確保助成金 |
| 「創業、異業種への進出」または「生産性の向上」に必要な、中小企業の経営基盤の強化に資する基盤人材を新たに雇入れた場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 受給資格者創業支援助成金 |
| 雇用保険の受給資格者(安定所に離職票を提出し、受給資格の決定を受けた者)であって次のいずれにも該当する者が自ら創業し、創業後1年以内に継続して雇用する労働者を雇い入れ、雇用保険の適用事業主となった場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 高年齢者等共同就業機会創出助成金 |
| 45歳以上の高年齢者等が3人以上で共同して創業(法人を設立)し、高年齢者等(45歳~65歳未満)を雇用保険被保険者として雇入れて継続的な雇用・就業の機会を創出した場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
ページのトップに戻る
介護事業支援
| 介護基盤人材確保等助成金 |
| 介護関係業務を行う事業主が、新サービスの提供等を行うのに伴い、改善計画期間内に新サービスの提供等に関わる部署で就労する特定労働者を新たに雇い入れた場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 介護未経験者確保等助成金 |
| 介護関係業務の未経験者(65歳以上の者及び新規学卒者を除く。)を、雇用保険一般被保険者(短時間労働者を除く。)として雇入れ、かつ、1年以上継続して雇用することが確実であると認められる場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 介護労働者設備等整備モデル奨励金 |
| 介護労働者の身体的負担軽減や腰痛を予防するため、介護福祉機器(移動用リフト等)について、導入・運用計画を提出し、厚生労働省の認定を受けて導入した場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |
| 介護雇用管理制度等導入奨励金 |
| 介護関係事業主が、介護労働者のキャリアアップ、処遇改善等のための各種人事制度を導入(既存の制度の見直しを含む。)し、かつ、採用・募集、健康管理等の雇用管理改善事業を実施した場合に助成されます。 |
| もっと詳しく |


ページのトップに戻る