就業規則

作成と見直しのススメ

1.作成義務

社員10名以上(パートタイマー、アルバイト等も含む)の会社は、就業規則を作成し、労働基準監督署へ届出ることが、労働基準法で義務付けられています。社員10名未満では作成義務はありません。しかし、就業規則は会社が発展し続けていく上で必要なルールですので、実務の円滑な遂行を目指すのであれば、社員数に関係なく作成することをお勧めします。また、社員数が増えるほど、規則やルールを変えるのは難しくなるものです。経営者の目が届く間は、社員の意識を変えるのにそれほど時間や労力がかからなくても、社員数が増えるにしたがい、経営者の思いが社員に伝わりにくくなっていきます。一度形成された社内ルールや社員の意識を変えるには、非常に多くの時間や労力が必要となってしまいます。

2.定期的な見直し

①会社の成長に合わせるため

会社の成長とともに、業務内容、経営戦術も変化し続けていきます。その変化に合わせ、会社のルールも変化させなければ、新たなトラブルに対応することはできません。社員数が10人、50人、100人では、それぞれの社員数に応じた就業規則が必要です。社員の増加や、組織の改編・多様化に就業規則が追いついていなければ、すぐに何らかのリスクにさらされてしまいます。

②法改正へ対応するため

トラブルの現場では、就業規則の古さに原因があることも少なくありません。現行法に合致していない規定は、当然に法定通りに読み替えられます。古い就業規則は、効力がないばかりか、実際に起こったトラブルに対し大きな損害を会社に与えることにもなりかねません。現時点での関係諸法令に適合しているかの点検作業が必要です。

近年の主な法改正
平成16年:
労働基準法
平成17年:
育児・介護休業法
平成18年:
労働安全衛生法、高年齢者雇用安定法
平成19年:
男女雇用機会均等法、雇用対策法
平成20年:
パートタイム労働法、労働契約法(施行)

※平成22年には労働基準法の改正があります。

③時代の流れに適合するため

近年はインターネットの普及に伴った社内パソコンの取扱いに関する問題が顕著化し、多くの会社が何らかの対応を迫られています。また、個人情報保護の重要視化、情報管理の適正化、裁判員制度への対応なども就業規則を通じて社内でルール化する必要があります。このように時代の流れとともに常に新たな問題が生じますので、就業規則も時代に合わせ修正していく必要があります。

(社員が遵守すべき事項)
第○○条
会社が貸与したパソコン等の情報機器使用において,業務に無関係なウェブ情報閲覧および電子メールの送受信については,一切行わないこと。なお,会社は必要に応じて,本人の了解を得ずに,会社が貸与したパソコン等の情報機器におけるウェブ情報の閲覧・検索履歴,電子メールの送受信の履歴およびメールの内容等を閲覧することができる。

3.運用のためのワンポイント

就業規則の作成・見直しは、まずは会社側の想いを余すことなく反映させます。ただ、就業規則はその存在よりも運用が大切であるため、労使双方が納得できる内容に作り上げていくという視点も大切です。そのためには会社側からの一方的なものにするのではなく、必要に応じて社員からのヒアリングを行い、その中で労使双方の意見を出し合って合意した内容を規定するというような、労使双方で作り上げていく作成方法も一考の価値があります。 このような方法は時間がかかるかもしれませんが、労使双方で就業規則に対する共通認識を持つことができ、社員も会社に対する協力姿勢が生まれ、就業規則の重要な目的のひとつである社員がモチベーションアップするためのツールとすることができます。

4.見直しのためのチェック項目(1つでも当てはまる場合はご相談ください)

□ 就業規則を作成したのは10年位前

労働諸法令は毎年少なからず法改正があります。そのため、定期的なメンテナンスが必要です。
平成18年に高齢者雇用安定法が改正され、平成25年4月1日まで、段階的に65歳までの継続雇用が義務づけられました。60歳定年でも継続雇用制度を導入していれば問題ありませんが、単に60歳定年では法令以下の規定となってしまい、定年退職時の離職票作成でも問題が生じます。雇用の継続が義務づけられているだけで、60歳定年後の雇用形態・労働条件の変更、再雇用の基準を設けることはできます。

(定年等)
第○○条
社員が満60歳に達した日をもって定年退職とする。
2
前項にかかわらず、定年に達した社員が希望する場合は、定年退職の翌日から引き続き満65歳に達するまで再雇用する。ただし、賃金、労働条件等については、継続雇用規程によるものとする。

□ 就業規則は雛形である

特に労働基準監督署の雛形は法令以上に、労働者保護の性格が強い規定がある場合があり、会社の考えと一致しているかどうか確認が必要です。規定の意図を理解せず、雛型どおりに作成すると、リスク回避どころか多大なリスクを抱える可能性があります。リスク回避のためには、規定の意図を理解し、会社の実情に合ったものにする必要があります。 また、就業規則は業種別に重視される規定や必要となる規定も異なりますので、事務系、製造系、医療系、サービス業系では当然その内容も異なってきます。

□ 就業規則の内容と運用にズレがある

就業規則は社員に周知され、正確に運用されることで、初めてその価値があります。就業規則で定めたことは、会社と社員の約束事であり、その内容は実態に合ったものとしなければなりません。実態とそぐわないものは、トラブルの最大の火種です。
例えば、年次有給休暇ですが、就業規則には法定通りの規定がされていても、実際は有給日数が管理されず、取得の手続きも曖昧で取得率がかなり低い場合、労働基準監督署の調査を受ければ、是正勧告の対象となります。

□ 社員の就業規則はあるが、パートタイマーの就業規則がない

社員向け就業規則のみで、パートタイマー等を雇用している場合、パートタイマーにも社員向け就業規則が適用され、会社にとって不利な場合が多くなります。一般的に社員とパートタイマーでは労働条件等が異なり、社員向けの就業規則をパートタイマーに適用することは、実務上無理があります。パートタイマーとの不要なトラブルも少なくありませんので、パートタイマー就業規則も必要な規則と言えます。

□人件費の効率活用を図りたい

ダラダラ残業の防止や長時間労働の抑制は、知らずに払いすぎていた残業代、休日手当など、人件費の削減を図るとともに、生産性の高い仕事の追及にもなります。
残業の事前承認制の運用、適正な労働時間数把握とこれに基づく点検、ダラダラ残業防止のための訓示・残業命令禁止規定の整備、職場風土の改革のための対策などを規定していくことが効果的です。

(残業の事前承認)
第○○条
社員が所定労働時間を超えて勤務をする場合には,所属長から事前に時間外労働の可否および時間外労働時間数についての許可を得なければならない。やむを得ない事由がある場合には,事後承認も認めるものとする。
2
社員は,業務の遂行に必要な時間数を超えて時間外労働の申請をしてはならない。
3
所属長の許可を得ずして,時間外労働または休日労働をしても,会社は原則としてこれを労働時間としては取り扱わない。
(労働時間の管理)
第○○条
日々の労働時間の管理は原則として社員が行い,所属長の承認を得た自己申告書をもって行う。ただし,自己申告書に記載された時間が正確ではないと認められたときは,その所属長の把握する時間とする。
2
人事管掌部門は自己申告に基づく労働時間管理の対象社員について,申告時間が適正であるか否か定期的に確認することとする。
(ノー残業デーの設定)
第○○条
毎週●曜日は,原則として「ノー残業デー」とする。やむを得ない事由があり,残業を行わせた場合,所属長は当月末日までに人事管掌部門にその事由等を報告する。
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