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雇用調整助成金とは

先日、総理の記者会見等でも報じられた「雇用調整助成金とはどのようなものですか?」と
問い合わせをいただく機会が増えており、簡単にまとめましたのでご確認ください。

雇用調整助成金とは、一時的に休業や教育訓練、出向などを行い、労働者の雇用の維持を図る
事業主に、労働者の失業の予防や雇用の安定を図ることを目的とした助成金です。

過去の例ですと、リーマンショックの景気後退局面や災害時に要件が緩和されており、
今回も新型コロナウイルスの影響を鑑み要件緩和が実施されています。
ただし、雇用調整助成金の内容や手続きは簡単ではありません。
以下に対象事業者や支給要件、支給金額、申請手続きを案内申し上げます。

雇用調整助成金とは、景気の変動や消費動向の変化より事業の縮小を検討する企業が、
余剰従業員に対して、休業・教育訓練・出向の3つの雇用調整を行う時に支給される助成金です。
新型コロナウイルスの対応としては、教育訓練並びに出向という手段は少ないと思われますので
今回の説明を割愛します。

〔支給対象の事業主〕
雇用調整助成金の支給対象事業主は、以下の条件を満たす必要があります。
•雇用調整を実施していること
•雇用保険適用事業主であること
•受給に必要な書類を整備し、労働局に提出・保管して、必要に応じて提出すること
•労働局等の実地調査を受け入れること

雇用調整は「景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由」によって、「事業活動の縮小」
を余儀なくされ、「労使間の協定」に基づいて行われるのが原則です。

厚生労働省〔雇用調整助成金〕
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

厚生労働省〔新型コロナウイルスによる対象事業所主の拡大〕
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09852.html

また、受給に必要な書類には、雇用調整の対象になった労働者の出勤状況や賃金、休業手当などの
支払い状況を明らかにできる労働者名簿や賃金台帳、出勤簿などが該当します。

▼助成の対象外となる場合

以下の条件に該当する事業主は、助成の対象外となります。
•支給申請日の前年度以前の労働保険料を滞納している場合
•3年間にわたる助成金の不支給措置がとられている場合
•支給申請日または支給決定日の時点で倒産している場合
                         etc

▼助成金の概要
雇用調整助成金の支給には、以下の要件を満たす必要があります。
1.〔生産量・売上高〕
生産量、または売上高などの事業活動を示す指標の直近3カ月間の月平均値が、前年同期に比べて、
10%以上減少していること
※新型コロナウイルスの影響では、確認対象期間を3カ月から1カ月に短縮

2.〔雇用指標〕
雇用保険被保険者数、および派遣労働者数の直近3カ月間の月平均値が、前年同期と比べて、
増加していないこと
※新型コロナウイルスの影響では、前年比より増加していても申請可能

3.〔労使協定〕
休業や出向の内容が、提出された労使協定に基づいていること

4.〔支給期間〕
対象期間は1年間。1年間が終了し、1年間の休止期間を経れば、再度申請を行えます。

5.〔支給対象となる措置と支給額〕
雇用調整助成金の支給対象となる措置には「休業」、「教育訓練」、「出向」の3種類があり、
それぞれ条件が異なりますが、休業のみを表記します。

6.〔休業〕
雇用調整助成金における「休業」は、低下した生産量が休業を通じて、比較的短期間で回復が
見込まれる場合の措置です。
本来、休業計画を事前に提出することが必要ですが、新型コロナウイルスの影響による申請は、
令和2年5月31日までに申請すれば事後申請も可能となっています。

7.〔休業の条件〕
休業の実施に助成金上の受給においては下記の要件が定められています。
•労使間の協定によるものであること
•事業主が指定した対象期間内(1年間)に行われること
•「判定基礎期間」において、対象労働者にかかる休業の延べ日数が所定労働延べ日数の
 1分の20(大企業は1分の15)以上であること
•休業手当の支払いが労働基準法第26条の規定に違反していないもの
•所定労働日の所定労働時間内に実施されること
•所定労働日全1日にわたるもの、または所定労働時間内に対象労働者全員につき一斉に
 1時間以上行われること

8.〔助成金の支給額〕
事業主が休業計画に基づき、休業をさせた場合には、平均賃金の6割以上(労働基準法第20条)の
手当を支給する必要があります。
事業主は、事業所の前年度の1人1日あたりの平均賃金額に、事業所の「休業手当等支払い率」
休業させた従業員に対して休業手当の支払後に助成率(中小企業は3分の2 、大企業は2分の1)を
乗じた額にさらに従業員の延べ休業日数を支給申請します。

例)3月1日~31日の1カ月間の受給申請額
前年度の1人1日あたりの平均賃金 5,000円・・①
  休業手当の支払い率 6割・・②
  判定基礎期間(1カ月の賃金計算期間)の延べ休業人数
(雇用保険被保険者すべての休業日数累積) 20日・・③
①×②×③=60,000円
    


〔雇用調整助成金の手続き方法〕
雇用調整助成金を受給するには、以下の手順で受給手続きを行います。
1.雇用調整に向けた具体的な計画の立案
2.雇用調整計画書を最寄りの労働局、もしくはハローワークへ提出
3.雇用調整計画書に基づいて、雇用調整措置を実施
4.雇用調整の実績に基づいて、支給申請書を労働局、もしくはハローワークに提出
5.労働局による審査
6.助成金支給の決定(その後、支給金額が振り込まれる)

〔まとめ〕
雇用調整計画書の策定は、休業措置の場合、どの部門で何人がどのくらいの期間休業するのか、
休業する人の選定方法などを検討しなければいけません。

雇用調整の措置を実施し休業手当を支給後、雇用調整助成金の支給申請を行います。休業措置の支給申請は
支給対象期間の末日の翌日から2カ月以内となります。
当然受給を得るのに申請後審査を受けますので、休業開始から数か月後の時間は要します。

なお、当事務所では、雇用調整助成金の取り扱いについては、リーマンショック時、東日本大震災時に多くの
対応実績がありますが、現在助成金の申請業務に関しては顧問先のみを対象に支援をさせていただいております。